経営の多角化と商品展示会

 昭和34年4月20日より29日までの10日間にわたり,東京都油脂小売商業協同組合との共催により「取扱商品展示会」を開催した。油脂販売業界の体質改善と多角化経営,店舗改造,陳列のヒントを与えるために開催されたこの展示会には,東京だけでなく埼玉,神奈川,千葉,静岡,山梨などの各県から多くの販売店が詰めかけ,期間中の入場者は1,500名以上に達した。油問屋の経営多角化を目指した取り組みはこの後も続けられる。
 昭和38年には,東京油問屋市場内に「油問屋経営多角化委員会」を設置し,油問屋の経営改善に資することとした。油問屋は明治時代にランプの普及とともに油脂から石油へと灯火の原料が変わったのに対応し,多くが菜種油とともに石油も扱うようになった。その伝統でガソリンスタンドや暖房用灯油販売などへの進出は行われていたが,一方,本業である食用油販売が食品系総合問屋に脅かされる状況が,昭和36年の自由化以降は特に目立つようになってきたため,油市場が積極的にこの間題に取り組んだ。

“開所参百年祭”を開催

昭和35年3月25日に東京油問屋市場(島田増次郎理事長)は開所300周年,創立60周年を記念して台東区立室内体育館において式典と運動会を開催するとともに,記念誌「油の歴史」を刊行した。式典では,福田赴夫農林大臣や東(あづま)東京都知事の祝辞を頂くとともに,オリンピック選手の模範演技,270名以上の永年勤続社員の表彰などが行われた。この開所参百年祭には,メーカー,販売店などを含めて約4,000人が集まるなど盛況を極めた。