伝統ある油問屋市場の行事
東京油問屋市場の1年は“初立会”で始まる。業界団体が新年交礼会で新年の顔合わせを行うのに対して,油市場は油の値決めを行う立会い(建値)でスタートする。建値委員の鳴らす威勢のよい撃拓の心地好い音が新年の幕開けを告げるのである。
新年に欠かせないもうひとつの行事が“初詣”だ。製版の幹部が会して毎年1月20日,佃島住吉神社に御参りする。式典の後,お神酒を頂き,その後の懇親会で製販の連携を確かめる。
“起業祭”は毎年3月25日に行っている。1901年に東京油問屋市場が創設されて以来,欠かさず行っており,2000年が100回目の大きな節目に当たる。
3月の起業祭から月を明けた4月,京都山崎の油祖離宮八幡宮で“日使頭祭”が開催され,製油メーカー各社の代表と多くの市場営業人が参加する。
団体としての定時総会は毎年6月に行われ,1年の事蹟報告,これからの1年の事業計画と予算が審議され,2年に1度は役員改選が行われる。
晦日の12月には“大納会”が恒例の行事になっている。初立会で始まった油問屋市場の行事は,大納会の立会いで1年を終える。
そしてこれら恒例の行事に欠かせないのが,“古式油〆”である。油問屋市場伝統の宴を締める手拍子で,12回手を打つ。最初は3回の手拍子を調子よく3度繰り返し,最後の3回はゆっくりと打つ。これは1年12ヵ月を現しているといわれ,また最後のゆっくりと3回打つのは,油をたらりたらり注ぐのをイメージしているといわれる。この“古式油〆”,斎藤道三以来の手〆で,売り方,買い方双方の値が決まり商が成立した時に,両者の繁栄を祈念して12回手を打ったと伝えられている。以前は建値が決まるごとに油〆で締めたという。
翌年の見通しを話し会う“内気配”は年も押し詰まった12月末に行われる。この時建値委員会は1年を振り返り,また今後の油の動向を展望する。
これらの伝統行事以外に,日常的な活動として行われているのが理事会(役員会)と総務委員会(市場の運営を話し合う),各種の伝統行事の企画と運営を行う企画委員会,月2回行われる立会いを取り仕切る建値委員会,研修会の実施と問屋が抱える様々な問題について話し合う経営委員会などである。また製油工場への見学や,海外の原料視察も必要に応じて随時行っている。
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